国内取引の判定基準
消費税は国内取引と収入に限定して課税されますが、国内取引の判定基準はどうなっていますか。
また、船荷証券の譲渡と免税の関係はどうなっていますか。
A、
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国内取引の判定は、資産の譲渡・貸付と役務の提供に区分し、次のように定められています。
資産の譲渡貸付>>>>(資産の譲渡・貸付け時にその資産が国内にあれば国内取引)
役務の提供>>>>(役務の提供が行われた場所が国内であれば国内取引)
資産の譲渡、貸付については、譲渡または貸付時にその資産が国内になれば国内取引と判定されます。
したがって、国内事業者が、国内の他の事業者に対し、国外の地域に所在するものとされる資産の譲渡又は貸付をした場合には、その譲渡又は貸付は国外の地域において行われたこととなり、消費税の課税対象とはなりません。
このような通達をわざわざ書いた理由については、「消費税の課税対象を所得税又は法人税の収入金または収益の生ずる取引と誤解する向きも多いことから、本通達は国外取引については消費税の課税対象とならない取引であることを念のため明らかにしているものである」とされています。
所得税・法人税の場合は。所得が生ずる場所が国外である場合でも、その所得に対して課税されますが、消費税は課税対象外取引となります。
たとえば、香港にある金地金を日本国内において譲渡する契約を締結しても、譲渡時に目的物が国外にあるのですから課税対象外取引になるということです。
また事業者が国外で購入した資産を国内に搬入することがなく、他に譲渡した場合は、その経理のいかんにかかわらず、国外取引として消費税の課税対象外となるということです。
役務の提供については、原則として役務の提供が行われた場所が、国内であれば国内取引となります。したがって日本人プロボクサーが外国で試合をしてファイトマネーを受け取った場合は、国外取引、外国人アーティストが日本国内で演奏活動を行い、ギャランティーを受領すれば国内取引となるのです。
2,船荷証券の譲渡と免税取引
船荷証券の譲渡は、その船荷証券に表彰されている貨物の譲渡ですから、原則として当該船荷証券の譲渡が行われる時においてその貨物が現実に所在している場所により国内取引に該当するかどうかを判定するのが原則ですが、その船荷証券に表示されている「荷揚地」が国内である場合のその船荷証券の譲渡については、その写の保存を要件として国内取引に該当するものとして取り扱って差し支えないことになっています。
消費税法上は有価証券や物品切手の譲渡は証券そのものの譲渡として非課税規定が適用されます、
ただ、この場合の有価証券は証券取引法第2条第1項にきていされるもの及びこれに類するものに限定されており、船荷証券はこれに該当します。
また物品切手は額面に表示された物品と同種同等の物品又は額面金額に相当する物品の給付請求権を表彰するものであり、船荷証券はこれに該当しません。
もともと船荷証券は、海上運送事業者が運送する貨物を受け取った事を認証し、これ荷揚地において証券の正当な所持人に引き渡すことを約した有価証券ですが、単なる証拠証券ではなく、運送契約上の運送に係るに貨物の引渡請求権を表彰するものですから、船荷証券の譲渡は一般にその船荷証券に表彰されている貨物の譲渡と認識されています。
したがって、船荷証券の譲渡が国内取引に該当するかどうかは、その船荷証券の譲渡を行う時にその船荷証券に表彰された貨物が現実に所在するかの確認は困難です。また、船荷証券は海上運送事業者が運送する貨物を荷揚地においてその船荷証券の正当な所持人に引き渡すことを約したものですから、その船荷証券が輸入貨物に係るものである場合、その譲受人は国内の荷揚地においてその貨物の引渡しを受けることとなっています。
そこで実務上輸入貨物にかかる船荷証券の譲渡については、これを譲渡した事業者がその写しを保存していることを要件として国内取引に該当するものとして取り扱って差し支えないという取扱で置いているのです。
この扱いで「国内取引」と判定された場合は、本邦に到着する資産で輸入の許可前であれば外国貨物になります。
実は、関税法では「外国貨物」とは輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可されている前の物をいうと定義しています。
このようにして、国内取引でしかも外国貨物の譲渡ということになれば、消費税法7条の輸出免税が適用されます。
もともと輸出免税には次のような要件が付されています。
1,課税業者によって行われるものであること
2、資産の譲渡等は国内で行われること
3,課税資産の譲渡等であること
4,輸出及び輸出類似取引であること
5,4,であることの証明がなされたものであること
消費税法は「免税」と表現されていますが、その内容は「0%で課税する」という意味ですから、課税取引でなければ免税はとれないのです。
上記要件の1〜3はいずれも課税を指向しており、船荷証券の譲渡は2で国内取引と判定されなければ、輸出免税にはなりません。
この意味からすれば、免税の適用を受けるためには課税取引に引き込むことが第1要件となります。
輸出免税は、消費税法上は0%課税するという意味ですから、課税売上割合の分母、分子に含まれ、納税者に有利に働きます。
なお輸出貨物の場合は当然のことながら船荷証券に記載されている荷揚地は国外になっていますから国外取引と判定されます。
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