課税対象外取引と非課税取引、免税の区分
Q.消費税法では非課税取引と規定していますが、これと課税対象外取引及び免税とはどのように異なるのでしょうか。
A.非課税取引は、課税対象取引と対象外取引を区分した後に考える事なのです。
つまり課税対象取引と区分されたもののうち、課税取引と非課税取引があるのだと考えて下さい。
たとえば、受取利息は法別表第一で非課税とされていますが、受取配当については非課税という規定はありません。
消費税では、「対価」でなければ課税対象にはなりません。
受取利息は金銭の貸付という役務提供の対価ですが、受取配当金は株主権に基いて支払われるもので「対価では」ありません。
課税対象外であれば非課税規定を置く必要はないのです。
消費税の課税、非課税については、課税対象、課税対象外の区分が行われた後の問題であり、課税対象外取引は、課税、非課税を論ずる以前のもので、課税のネットの外にあるものといえます。
課税対象外取引も非課税取引も「消費税が課税されない」という点では同一ですが、課税売上割合の計算では、非課税は分母に含まれ、課税対象外は分母にも分子にも含まれないなどその取扱は大いに異なっていますので、両者は厳格に区分されなければなりません。
消費税法では、国内取引のうち輸出及び輸出類似取引を「免税」としていますが、これは「0%で課税する」という意味ですから、課税取引に含まれるのです。
EU諸国では「免税」しないで「0%課税」としていますが、日本では消費税を創設する際に「0%課税」を「免税」と規定してしまったため誤解を生んでいるようです。
もともと消費税は内国消費税ですから国内において消費される物品やサービスに負担を求めるもので、海外で消費される輸出物品を日本で課税することができません。そこで輸出に際して0%課税とし、売上に係る消費税だけでなく、その物品の仕入に含まれている消費税を控除し、消費税を含まない裸の価格で輸出できます。
その代わり、消費国では輸入に際して、その国の付加価値税を課税します。これを仕向地主義といいます。
つまり、輸出免税は売上に係る消費税が課税されないだけでなく、仕入に係る消費税が控除され、控除しきれない時は還付されるので、全く消費税を負担しないことになります。
この点は、売上に係る消費税は課されませんが、仕入に係る消費税が控除できない「非課税」とは質的に異なりますので、免税(0%課税)と非課税とは明確に区分されなければなりません。
輸出等の免税は、EU諸国においては「ゼロ税率適用取引」とされています。
これは、売上に税率ゼロを適用し、売上に係るゼロの消費税を算出した上で仕入に係る消費税を控除し、控除しきれなければ還付するという計算を行うわが国でも同様の取り扱いとなります。
したがって、輸出等は免税というよりは、税率ゼロで課税する取引と理解したほうがよいでしょう。
つまり輸出及び輸出類似取引は事業者免税点や課税売上割合の計算、簡易課税の適用判定上の課税売上に含まれるということです。
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